前回の続きです。「再販売価格維持制度」という言葉をどこかで聞いたことがありますか。巷では「再販(さいはん)なんで」とか、「再販だから」と略して使われたりしています。これは、簡単に言うと、法律で供給者が決めた販売価格(俗に言う定価)を維持して販売することを言います。勝手に価格を変更したり値引きをしたりすることを禁止した制度なのです。これはある特定のアイテムに対して与えられた特権で、それは・・・
新聞、書籍、雑誌、音楽CD、音楽テープ、レコードの6品目に与えられています。新聞屋さんなんかは、購読料の値引きをして欲しいと思っていて交渉していても、いろいろと契約時に欲しくないおまけ(洗剤など)や昔はビール券などをつけてなんとか契約にこぎ着けていましたが、この制度で価格を維持せざるを得ない事情があって苦肉の策で営業をしているのです。
この制度の特徴として、価格を自由に設定できない代わりに返品が可能ということがあります。もっと複雑な取引形態もあるようですが、簡略化すると委託販売を制度化したものと考えてよいと思います。よく輸入版のCDなどは値引き販売をしていますよね。輸入版CDは、再販制度の枠外にあって、小売店側も在庫リスクを負って販売をしているので、自由に価格を決められるのです。その分売れなければデッドストックとなり、経営を圧迫するのですが・・・。
しかし、日本の音楽ソフト市場のほとんどがJ-popに代表される日本人アーティストの楽曲消費で収益を支えているため、輸入版の影響度はほとんどないと考えてよいでしょう。
このように、国の加護の中で競争なき成熟産業として規模を拡大してきた市場は、消費が安定し文化保護という大義名分の名の下に右肩上がりの時代には、最適な制度でありました。しかし、一旦経済状況が変化したときは、その変化に法制度が対応できないとともに、供給者側も競争環境で鍛えられていないので、結果として市場ニーズを見誤り衰退の途を業界全体で突き進むようになったのです。
なぜ、このような制度が先進国である日本で変わらず温存されているのでしょうか。
この部分の事情については、次回に・・・。
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